天津マージャン —— ワイルド牌があり、ロンが存在しない麻雀
天津には天津の麻雀がある。「混児」とは何か、なぜ振り込みが起こらないのか、そしてごく普通のカンチャン待ちが、どうして固有の役名を持つに至ったのか。
街ごとに、別の麻雀がある
中国の麻雀は一つではない。省ごと、しばしば街ごとに、役も計算も用語も違う。天津のルールはとりわけ簡素だ。チーなし、ロンなし、七対子なし。そして毎局、一枚の牌がワイルド「混児(フンル)」になる。役は六つ。これで全部。
五分で教えられる。そのあと何年も言い争える。
混児 —— 何にでも化ける一枚
毎局、一枚の牌が混児に指定される。手に足りないものの代わりになる。天津の人はこれを儿化音で「フンル」と発音する。
六つの役のうち二つは、この牌との付き合い方そのものだ。混吊(2ハン)は混児を手に残して雀頭待ちで和了ること。素提溜(2ハン)は混児を一度も使わずに和了ること。
この二つが同じ点数なのが面白い。いちばん清い手が、ワイルドに支えられた手より高くはならない。
誰も振り込まない
天津マージャンにロン(栄和)はない。他家の捨て牌では和了れない。すべてツモ和了で、和了者は残り三人から同時に受け取る。
これが何を取り除くかを考えてみてほしい。立直麻雀では、技術のおよそ半分は守備だ。相手の待ちを読み、good な手でもベタ降りし、安全牌を選ぶ。天津には振り込む先がない。切った牌で負けることはあり得ない。負けるのは「誰かより遅かった」時だけだ。
そしてダメージを一人が被ることもない。三人が同額を払う。「あいつが振り込んだ」という悪役が卓に存在せず、一枚の牌をめぐる反省会も起きない。麻雀卓が捨て牌一枚で十分間もめるのを見たことがある人なら、これが意図された平和だと分かるはずだ。
捉伍 —— ありふれすぎて名前がついた待ち
四萬と六萬を持って、五萬を待つ。世界中どこでも、これはただのカンチャン待ちで、残された形としてはいちばん弱い。天津ではこれが役になる。捉伍(ジュオウー)、3ハン、しかも萬子限定。
形そのものにその価値はない。気にする人が十分に多く、十分に頻繁だったから、名前が必要になっただけだ。
計算には継ぎ目がある
役のハンは掛け算だ。混吊(2)と本混龙(8)で16、10ではない。だから天津の大物手は一気に跳ね上がる。
ただし二つだけ例外がある。捉伍(3)と龙(4)は足し算で、3 + 4 = 7。この例外を説明する原理はない。これは残滓だ——卓の上で実際にどう精算していたか、その痕跡がそのまま残っている。
卓から育ったルールには、必ずどこかにこういう継ぎ目がある。生きているローカルルールか、ルールブックから再構成されたものかを見分けるいちばん速い方法でもある。
名前も含めて、この麻雀だ
素提溜(スーティーリュー)。本混龙(ベンフンロン)——自分の「龙」(123-456-789 の一気通貫)が、その局の混児と同じ色に揃うこと、8ハン。これらは標準用語の翻訳ではない。天津の言葉で、声に出すためにある。
天津は開港地であり、相声(中国の漫才)の本場でもある。口の達者さを重んじる街だ。ルールが少なく、手が速く、名前が言って楽しい——そういう麻雀に落ち着くのは、いかにも天津らしい。
点数の数え方(簡単に)
役のハンは掛け算、カンは別計算(明カン1ハン・暗カン2ハン)、親と連荘でそれぞれ2倍、最大8倍。合計 =(和了 + カン)x 親倍率。ツモなので、和了者はこれを残り三人それぞれから受け取る。
ローカルルールは卓ごとに違う。ここに書いたのは広く遊ばれている一つの型で、下のアプリが実装しているものと同じだ。